「投資信託」って何?いまさら聞けない仕組みやメリットを詳しく解説!
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日本はいま、超低金利の時代です。普通預金や定期預金に預けて「貯める」だけでは、残念ながら資産はほとんど増えることはありません。そのため、資産運用を行って「増やす」ことに注目が集まっています。
お金を増やす資産運用といえば、一般的には株式や債券などを運用して利益を上げる「金融投資」のイメージが強いでしょう(不動産や貴金属に投資をする「物的投資」という方法もありますが)。しかし、金融投資にしても物的投資にしても、いざ投資をスタートするとなると「リスクが大きいのではないか」とか「そもそもどうやって始めたらいいか分からない」といった、不安や悩みを感じる方が多いのではないでしょうか。確かに、いきなり自分で金融商品を購入し、自分で運用するのは、初心者にとってはハードルが高いものです。
そんなときに検討したいのが「投資信託」です。投資信託は、金融投資を専門家に委託して運用してもらうもので、それ自体が「投資商品」です。投資信託なら、投資に関する一般的なリスクを比較的抑えたうえで、資産運用にチャレンジできます。
この記事では、投資初心者の方に向けて、投資信託とは何かについて詳しく解説します。
そもそも投資信託とは?どんなメリット・デメリットがある?
そもそも投資信託とは何か
まずはじめに、投資信託とはどんなものなのかを説明しましょう。
投資信託は、投資における金融商品のひとつです。
投資信託は、たくさんの投資家からお金を集め、それを投資の資金として、「ファンドマネージャー」と呼ばれる専門家が投資や運用を行うシステムの金融商品です。そして、投資でプラスになったお金を、投資額に応じて投資家に分配します。いわば、投資のチーム戦ということです。
それに対して通常の金融投資の場合、投資家が、個人の判断で銘柄を決めて投資を行います。いわば、投資の個人戦です。
投資信託には、通常個人で行う株式投資や債券投資にはないさまざまなメリットがあります。
投資信託のメリット(1)分散投資でリスクを軽減
投資を成功させるセオリーのひとつは、運用する金融商品を分散して、リスクを軽減させる「分散投資」にあります。
とはいえ、個人投資家が分散投資をする場合、複数の金融商品を購入する必要があり、まとまった資産が必要となります。
しかし投資信託の場合、たくさんの投資家から資金を集めて運用する仕組みなので、投資家一人ひとりに必要な資金は少額で始めることができます。このように個人でも分散投資が可能なことが、投資信託の大きなメリットといえます。
ちなみに投資信託の金融商品は、大まかに分類すると
・国内株式型
・国内債券型
・外国株式型
・外国債券型
・バランス型(株式や債権などを組み合わせた金融商品)
・国内REIT(国内の不動産投資)
・海外REIT(海外の不動産投資)
・コモディティ(商品先物取引)
・その他
という9種類に分けることができます。
上記にあげた複数の商品に分散投資をすることで、投資リスクが軽減されます。
投資信託のメリット(2)少額から投資が行える
株式投資や債権投資などの金融投資は、一般的には、始める段階からある程度の資金力が必要になり、それが投資をスタートする障壁にもなっています。「投資家」と聞くと「お金持ち」というイメージがあるのは、そもそも潤沢な資金力を有しているからでしょう。
それに対して投資信託は、一人ではなく多くの方からお金を集め、その資金で運用します。そのため、一人ひとりが投資に必要なお金は、少ない金額でも問題ありません。つまり、誰でも投資家になれるハードルの低さがあります。
商品によって幅はありますが、積立型の商品なら、1,000円程度から投資することが可能なものもあります。経済的な負担がほとんどかからず、無理のない額から投資をスタートできるといえるでしょう。
投資信託のメリット(3)運用はすべてプロにお任せ
株式投資や債権投資の場合、どのような金融商品を購入し、どのように運営するかは、すべて投資家本人の判断にかかっています。
特に株価などは秒単位で大きな変動が起きる場合もあり、その都度、常に正しい判断が金融資産に跳ね返ってきます。また、常に株価の変動などをチェックする必要があります。こういったひとつひとつの時間的・精神的な負担は、特に投資初心者にとっては辛いものです。
一方、投資信託では、ファンドマネージャーと呼ばれる投資の専門家が、投資家に代わりに運用します。専門家に任せることにより、その時々で最適な“次の一手”を打ってくれるため、素人運用よりもはるかにリスクが軽減されます。また頻繁に株価などの動向をチェックする必要もありません。
投資信託のメリット(4)豊富な金融商品から選択できる
投資信託の商品は、取り扱う商品の内容などそれぞれに個性や特徴があり、種類も豊富です。その金融商品の中から、投資対象、運用方法、受け入れられるリスクの大きさなど自分に合ったものを選ぶことができます。
例えば、高いリターンが期待できる反面、リスクも高い商品や、リターンは低くてもなるべくリスクの少ない安定性の高い商品など、どちらを選ぶかは自由です。その上で、傾向の異なる複数の金融商品をバランス良く分散投資して、リスクを軽減させることも可能です。
さらに、海外の株式や債権や特殊な金融商品といった、個人投資家ではなかなか手を出せないようなものでも、投資信託なら投資が可能な場合もあり、運用する商品の幅が広がることも大きなメリットです。
さて、次はデメリットに触れていきましょう。
投資信託にもいくつかのデメリットがあります。デメリットの面も正しく理解することが、投資のリスク軽減につながります。
投資信託のデメリット(1)元本割れの可能性がある
投資信託は、投資のプロであるファンドマネージャーが金融商品を運用します。その意味では、投資の素人が運用するよりもリスクは低いといえます。しかしそれでも、元本割れなどのリスクはゼロではありません。また、災害や戦争といった不測の事態により、株価が大幅に下落するようなケースもあります。
価格変動リスク
株価や債券の値下がりに伴い、投資元本を割り込み、損失に至る場合があります。
信用リスク
株式や債券の発行者の経営・財務状況が悪化するなどして信用が低下すると、株価や債券価格などが下落し、これによりファンドの基準価額が影響をうける場合があります。
為替リスク
外貨建て投資信託(外貨建てMMFなど)では、為替相場の変動で、円換算でのお受取金額が投資元本を割り込む場合があります。
このようなリスクは、短期で行う投資では高くなる傾向にありますが、長期で行う投資では突発的な要素が平均化されるので、リスクを低くすることができます。
投資信託のデメリット(2)購入時や信託報酬などの手数料がかかる
投資信託は、投資や運用をファンドマネージャーに委託する金融商品です。そのため、購入時に必要となる販売手数料、運用に必要な信託報酬といった手数料がかかります。ちなみに投資信託の手数料は、ファンドの性格によってもかなり変わります。例えばアクティブファンドなどは、リターン追求のために頻繁な分析をし、商品の入れ替えなども積極的に行います。そのような手間がかかっているため、高いリターンが期待できる一方、手数料は高くなりがちです。
いずれにしろ、投資信託のリターンは、こういった手数料を差し引いた額になるので注意しましょう。
そのほか、申込手数料、信託財産留保金、監査費用、有価証券等の売買にかかる手数料などの費用もかかります。
投資信託のデメリット(3)リアルタイムでの売買ができない
株価や債権は時間ごとに変化し、一般の投資ではそのタイミングを狙って売買が行われます。しかし投資信託には「ブラインド方式」というシステムが採用され、適用される基準価額がわからない状況で売買注文が受理されています。
投資信託は、自分のタイミングで売り買いができないのです。一見デメリットのように見える制度ですが、資産の評価値が確定したあとに投資信託の取引ができると、ファンドを保有する投資家の利益が阻害されて平等性を欠いてしまいます。これは受益者の平等を守るために必要な仕組みなのです。
投資信託を始めるときのポイントとは?
投資の初心者が投資信託を始めるなら、どんなことを意識すればいいのでしょうか。この項では、そのポイントを分かりやすく解説します。
投資信託のポイント(1)「長期・つみたて・分散」を意識する
投資の金融商品には、先にご説明したような「価格変動リスク」や「信用リスク」、そして「為替リスク」といったさまざまなリスクがつきまといます。そしてそれは、ファンドマネージャーという投資のプロが運用を行う投資信託でも、100パーセント回避できるものではありません。
昨今の世情が物語るように、災害や戦争といった「まさか」の不測の事態が起こることは、誰しも予測はできません。
そしてその不測の事態による株価の下落など、想像もしなかったケースも現実に起こり得るのです。
その投資におけるリスク軽減のセオリーとされるものが、「長期・つみたて・分散」という3つのポイントなのです。
(1)長期投資
長期投資とは、その名のとおり、じっくりと資産形成するために長期にわたって金融商品を購入・保有し続ける投資方法です。
長期投資のメリットはなんといっても「複利」にあります。
投資信託には分配金が有るものと無いものがありますが、複利を生むには「分配金が無い」もので運用する必要があります。
分配金が無い投資信託は利益が出ても運用益を投資家に分配せずに再投資し、元金と利息の両方を運用資産にまわす仕組みで運用するので、複利的な効果が期待できるというものです。
また、投資の金融商品には、短期的な振れ幅が大きなものもあります。特に、1秒ごとに値動きの振れ幅が変動する株式はその代表格です。
しかしこのような金融商品の振れ幅は、長期にわたり「定期的に」投資信託を購入することで、突発的な要素が平均化されるので、値動きの振れ幅が小さくなり、比較的リスクは低くなります。つみたてNISAのような金融商品のメリットはこういったところにあります。
(2)積立投資
積立投資は、定期的に金融商品を購入して投資の金額を積み立てて増やしていく方法です。積立投資には、定量購入する方法と、定額購入する方法があります。
積立投資には、複数回に分けて購入することで平均購入単価を平準化できる、自動的に投資を継続できるというメリットがあります。
また、積立投資は基本的に自動的に積立されるため、いい意味で「放置できる」という面もメリットといえます。株価などの値動きにいちいち一喜一憂することなく、心穏やかな生活を送ることができます。
(3)分散投資
投資において、リスクを減らすテクニックの基本のひとつとなるのが「分散投資」です。
値動きが異なる資産に分散投資をすることで、一方が元本割れするような時にも、もう一方が利益を生み、全体の投資リスクを軽減するといったものです。
投資を卵に例えると…
投資の世界では有名な言葉として「卵を一つのかごに盛るな(Don't put all eggs in one basket)」という例えがあります。
割れやすい卵は1つのかごに盛ると、落としたときにすべて割れてしまう。そんなリスクを回避するために、卵を複数のカゴに盛るように、投資も分散させるのです。分散投資の例を金融商品のグループに分けて説明しましょう。
分散投資の例(1)リスクとリターンの分散
「ハイリスク・ハイリターン」の金融商品と、「ローリスク・ローリターン」の金融商品があるとします。どちから1つを選択するのではなく、両方の商品をバランス良く購入すれば、元本割れするリスクは低くなります。
分散投資の例(2)資産や銘柄の分散
国内株式や外国株式、国内債権、外国債権、そして不動産と、資産や銘柄にはさまざまな種類があります。その種類をバランス良く分散投資すれば、全体としてのリスクを低減できます。
分散投資の例(3)地域の分散
アメリカやオーストラリア、中国など、複数の国の商品を組み合わせれば、不測の国際情勢の変化などによる株式リスクを低減できます。
投資信託のポイント(2)リスク許容度を意識する
投資信託で取り扱っている金融商品には、投資対象や募集形態により、さまざまな種類があります。
投資信託の商品のリスクとリターンの許容度は、「RR分類」という分類で判断することができます。
このRR分類は、投資信託の商品を、リスクとリターンの程度によって1〜5の5段階に分類したもので、一般社団法人投資信託協会が策定したものです。1998年の法改正から公式書面に記載されることは無くなりましたが、投資信託のリスクとリターンを理解する上で、大きな参考となります。
RR1:安定重視型
安定した利回りを目標に運用され、基準価額の変動が小さい商品。MMF(Money Market Fund)やMRF(Money Reserve Fund)などが該当。
RR2:利回り追求型
利回りの上昇を目標に運用され、基準価格の変動が比較的小さい。公社債投資信託などが該当。
RR3:値上がり益・利回り追求型
値上がりと利回りの上昇を目標に運用され、基準価額の変動が比較的大きい。バランスファンドなどが該当。
RR4:値上がり益追求型
値上がりを目標に運用され、基準価額の変動が大きい。株式投資信託などが該当。
RR5:積極値上がり益追求型
値上がりが大きくなることを目標に運用され、基準価額の変動が特に大きい。ブル型ファンドやベア型ファンドなどが該当。
大まかにいえば、安定性はRR1の安定重視型がもっとも高い位置にあります。次にRR2、RR3…となり、RR5がもっとも安定性が低いといえます。
逆にリターンは、RR5の積極値上がり益追求型がもっとも高い位置にあります。次にRR4、RR3…となり、RR1がもっともリターンが低いといえます。
金融商品を選ぶとき、自身のリスク許容度に合わない商品を選択してしまうと、自分の指向に合ってない値動きをストレスに感じてしまうかもしれません。
多少リスクがあってもリターンが大きい商品が良い!と考える方は積極値上がり追求型の商品を中心に選べば良いでしょう。逆に、リスクは最小限に抑えたい、安定した運用をしたい!と考える方は、安定重視型の商品を選ぶと良いでしょう。
投資信託のポイント(3)解約価額や信託報酬を知り、金融商品を選択する
投資信託を始めるとき、「解約価額」や「信託報酬」の意味を知っておくと、より良い投資活動を行うことができるでしょう。
解約価額と信託報酬は、どちらも投資信託の受け取り額に関わる用語です。
解約価額
解約価額とは、基準価額から信託財産留保額を差引いた価額です。
投資信託を解約すると、基準価額(解約するときの1口あたりの時価)から信託財産留保というお金が差し引かれます。パーセンテージは金融商品により異なりますが、0.2~0.3%程度が一般的です。信託財産留保は解約手数料ではありませんが、投資信託を償還以外のタイミングで解約する場合に徴収され、全体の運用資産に残されるというものです。
信託報酬
信託報酬とは、投資信託の管理手数料のようなものです。その金額は投資信託ごとに設定があり、投資信託の純資産総額に対して、一定のパーセンテージが信託報酬として、毎日差し引かれています。
信託報酬のレートは、おおよそ年0.1~2.0%程度が目安となっています。
★CHECK★
この信託報酬のレートは、投資家が金融商品を購入するときに見ておきたい重要なポイントです。
パッシブ(インデックス連動)の場合は、市場の動きと併せた運用のため、比較的運用の手間がかからず、信託報酬のレートは抑えられたものが多い傾向にあります。一方で、アクティブファンドのように、より積極的に運用益を高めるための調査や分析、銘柄の入れ替えを頻繁に行うと当然運用会社の維持費もかかるため、信託報酬のレートも高くなります。
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まとめ
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