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資金繰り

キャッシュフローの改善方法11選!基礎知識から改善の成功実例まで紹介

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キャッシュフローの改善方法11選!基礎知識から改善の成功実例まで紹介
資金繰りは経営の要です。金融機関から「キャッシュフローの改善を」というアドバイスを受け、さまざまな取り組みをしてみたものの、「改善されている実感が持てない」という経営者や財務経理担当者も多いでしょう。今回はキャッシュフローが重要視される理由や具体的な改善方法についてわかりやすく解説します。

キャッシュフローとは

キャッシュフローとは、文字通りお金の流れのことです。キャッシュフロー計算書は、資金の残高に増加・減少等の変動をもたらす「収入」および「支出」を報告対象としています。

お金の流れを通して企業の経営状態をチェックするために、キャッシュフロー計算書は財務諸表の1つとして位置づけられています。しかし、経営状態をチェックするためには「利益を見る」という方法があるにもかかわらず、なぜキャッシュフローの計算が必要なのでしょうか。その理由は、キャッシュの方が利益より客観性の高い「事実」を表すためです。

会計上の利益は、会計処理方法の違いにより、異なった金額が算出されてしまう可能性があります。一方で、キャッシュフローは当座預金勘定の増減という事実に基づいて認識されるため、確実な情報といえます。こうしたことから、経営においてはキャッシュフローが重要視されます。

キャッシュフローの詳細について知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
【お役立ち記事】キャッシュフローとは?計算書の作成方法や見方を解説

キャッシュフローの区分は3つ

キャッシュフロー計算書は、「営業活動によるキャッシュフロー」、「投資活動によるキャッシュフロー」、「財務活動によるキャッシュフロー」の3つに区分されます。

営業活動キャッシュフローは、企業の本業によってどの程度の資金が得られたかを示すものです。商品やサービスの販売によって得られた収入や、そのために必要になった商品やサービスの購入による支出といった項目が記載されます。

投資活動キャッシュフローは、企業の投資活動によって支出した資金や獲得できた資金の大きさを示すものです。固定資産や投資有価証券の取得、売却といった項目が記載されています。

財務活動キャッシュフローは、資金を調達したり返済したりすることで支出した資金や獲得できた資金の大きさを示します。株式の発行による収入、自己株式の取得による支出、社債の発行による収入、金融機関からの借入による収入や返済による支出といった項目が記載されます。

どのようなキャッシュフローのあり方を目指すべきか

キャッシュフローが望ましい状態になっているかどうかは、3つの区分のどこで収入を得て、どこで支出があるかによって判断することができます。望ましいキャッシュフローの状態を理解し、それを目指すことが重要です。

理想的なキャッシュフローの状態

理想的なキャッシュフローとは、「企業の本業である営業活動で十分なキャッシュを得て、その他の活動に回している状態」です。これは、主に3つのパターンに分けられます。

1つ目のパターンは、「本業によって獲得した資金の範囲内で将来の成長に向けた投資を行い、余剰資金は借入返済に回す」という安定型のキャッシュフローです。この場合、営業活動キャッシュフローは黒字、投資活動キャッシュフローと財務活動キャッシュフローは赤字になります。

2つ目のパターンは、「本業によって獲得した資金と、投資を回収して得た資金によって、借入返済を行う」という財務改善型のキャッシュフローです。この場合、営業活動キャッシュフローと投資活動キャッシュフローは黒字、財務活動キャッシュフローは赤字になります。

3つ目のパターンは、「本業によって獲得した資金と、銀行から融資を受けて得られた資金を、将来のための投資に回す」という投資重視型のキャッシュフローです。この場合、営業活動キャッシュフローと財務活動キャッシュフローは黒字、投資活動キャッシュフローは赤字になります。

キャッシュフローの改善が必要な状態

理想的なキャッシュフローの状態が把握できた後は、改善が必要なキャッシュフローの状態についても理解しましょう。

最も望ましくないキャッシュフローの状態は、「営業活動では十分なキャッシュを得られていないにもかかわらず、無計画に投資を行い、運転資金の不足分や投資資金を金融機関から借入している状態」です。この場合、営業活動キャッシュフローと投資活動キャッシュフローは赤字、財務活動キャッシュフローだけが黒字になります。

キャッシュフローが悪化する要因

キャッシュフローが悪化する要因は「キャッシュ・インの減少」「キャッシュ・アウトの増加」の主に2つに分類されます。具体的に何を指すか本章でご紹介します。

キャッシュ・インが減少

キャッシュ・インの減少とは、企業が得られる現金収入が減少することです。主な損失の減少としては、下記のものがあります。

・売上の低下・赤字
売上の低下は、企業のキャッシュ・インを直接減少させる大きな損失です。
売上が減少すると、企業が今後入ってくる現金の流れが弱まります。は、赤字に転落する前に事業の見直しや新規顧客の開拓など、売上回復のための覚悟を行うことが必要です。

売掛金の未回収(取引先からの入金遅延)
売掛金の未回収も、企業のキャッシュフローに大きな影響を与える要因です。
売上があってもすぐに手元に現金が入ってこないため、運転資金が不足する可能性があります。また、取引先からの入金遅延により売掛金の回収期間が長くなると、企業の資金繰りが悪化します。
 
売掛金未回収のリスクについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

・価格競争の激化
競合他社との価格競争が激化すると、多くの場合、製品やサービスの価格を下げざるを得なくなります。
価格の低下は売上高の減少につながり、キャッシュ・インが減少するほか、売上高は変わらなかったとしても利益率が低下するため、キャッシュフローの悪化をもたらします。
 
これらが長期化すると、運転資金不足や事業運営に支障をきたす可能性があります。

キャッシュ・アウトが増加

キャッシュ・アウトの増加とは、企業から出ていく現金が増加することです。キャッシュ・アウトが増加する主な要因としては、下記のものが考えられます。

・過剰な在庫や設備投資
在庫が過剰になると、その分余計な保管コストや管理コストがかかり、キャッシュ・アウトが増加します。また需要予測を上回る設備投資は、短期的に多額の支出を伴うため、キャッシュフローを圧迫します。

・不良資産の保有
本来の価値が大きく毀損した「不良資産」は、収益を生み出さない一方で維持費や管理費などのコストがかかるため、キャッシュフローを悪化させる要因となります。
また、不良資産の処分には多額の費用が必要となる場合があります。

・仮払金や貸付金の増加

仮払金とは、用途が決まっていない経費に充てるために一時的に支出される資金のことであり、貸付金は役員や関係者などに貸し付けられる資金のことです。
これらの項目が過剰になると企業の資金流出を引き起こし、キャッシュ・アウトが増加します。

買掛金の早期支払い
買掛金の早期支払いにより支払いサイトが短縮すると、一時的に資金流出が増加します。資金流出が増加すると運転資金が不足し、短期借入金などの調達が必要になる可能性があります。

こうした要因により支出が多額になると、利益が出ていてもキャッシュフローの悪化につながるため注意が必要です。

キャッシュフロー経営はキャッシュフロー改善に効果的?

キャッシュフローを改善する方法の1つとして、「キャッシュフロー経営」が取り上げられることがよくあります。
キャッシュフロー経営とは文字通り、「キャッシュ」を重視した経営方法のことです。一般的な経営で行うような損益計算書を基準にした経営判断ではなく、実際の現金の動きから現状を把握して事業を推進していくことを指します。

現金が常に手元に残っている状態を維持するため、中長期的に安定した経営を実現できます。キャッシュフローが改善すれば、新規事業や人材採用・設備への投資、給料アップなどが行いやすくなり、人材定着につながるというメリットもあります。

詳細については以下の記事をご覧ください。
【お役立ち記事】キャッシュフロー経営とは?メリットやデメリット、重視されている背景を解説

キャッシュフローの改善方法

それでは、どうすれば望ましいキャッシュフローに近づけるのでしょうか。

キャッシュフローを改善する方法は、基本的には「キャッシュ・インを増やす」、「キャッシュ・アウトを減らす」の2通りしかありません。キャッシュフロー計算書の区分に従って、具体的な改善方法を見ていきましょう。

営業活動面でキャッシュ・インを増やす

1. 売上を増やす
キャッシュフローの改善方法として、最も基本的かつ確実な方法は本業によるキャッシュの流入を増やすことです。そのために、まずは売上がないと始まりません。

以下に解説する、債権回収や顧客からの支払いを現金で受け取ることによってキャッシュ・インを増やす方法は、先立って一定の売上がなければ使えません。金融機関との付き合いにおいても、一定の売上があれば信用力が増すため、資金調達がしやすくなります。
つまり、売上を増やすことはキャッシュフロー改善の第一歩ということです。

2. 売却を回収する
売上は、回収することにより初めてキャッシュ・インとなります。日頃からきちんと債権管理を行って回収が滞らないようにすることはもちろん、資金繰りが苦しくなってきた際にも、現金を得る方法として借入より先に債権回収を検討しましょう。
 
3.ファクタリングを活用する
「ファクタリング」という方法を使うことも1つの手です。
ファクタリングとは、売掛債権を買い取ってくれる金融サービスのことです。すぐに現金を調達したいときや、債権が回収不能となるリスクを低減したいときに役立ちます。
 
ただし、ファクタリングは手数料が高い、売掛債権の範囲内でしか利用できないといったデメリットがあり、利用する際には注意が必要です。

4.顧客からの支払いはなるべく現金で受け取る
こちらが支払う場合とは逆に、顧客に支払ってもらう場合は後回しにしてはいけません。なるべく現金で受け取れるよう顧客と交渉しましょう。

営業活動面でキャッシュ・アウトを減らす

1.経費を削減する
仕入や人件費などのコストを削減することは、キャッシュの流出を防ぐ最も基本的な方法です。相場を調べて取引先と交渉することで仕入額を抑えたり、業務が少ない時期や時間帯のアルバイト人数を減らすことで人件費を抑えたりする対策が有効です。

2.無駄な在庫を減らす
在庫は資産であり、売上の源泉となるものですが、無駄な在庫が眠っている状態は問題です。保管費など無駄なコストがかかるうえ、在庫として持っている資産売れない在庫は早めに売却し、換金すれば良いでしょう

3.クレジットカードなどの利用で支払い先延ばす
支払いまでの期間を長くすれば、手元にお金が残ります多いため、資金に余裕があります。具体的には、クレジットカードを利用して後払いにし、今月の仕入れを翌月初に回避します、外注契約の支払いを分割払いにするような改善方法が考えられます。

支払いを先払いできる資金繰り改善サービスを活用することも選択肢の1つです。
資金繰り資金繰り

投資活動面でキャッシュ・インを増やす

 1.遊休固定資産を処分する
使われていない車両や備品等があれば、売却して現金化することを検討しましょう。せっかくの資産も、使われなければ何の価値も生み出さないためです。

2.売掛金の未回収を減らす

貸付金があれば、回収することにより手元のお金を増やすことができます。支払いを早めにしてもらえないか、貸付先と交渉しましょう。
 
ただし、貸付先との交渉は会社や業界によって受け入れてもらえないこともあります。そうした場合には、貸付先の入金日を変えないまま、自社の売掛金を最短一日に短縮できる後払決済サービスを活用することがおすすめです。
後払決済サービスの概要を知りたい方は、こちらの資料がおすすめです。
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財務活動面でキャッシュ・インを増やす

1.資金調達する
これまでご紹介したような方法を試しても資金繰りが厳しい場合は、資金調達を行うことを検討しましょう。資金調達手段は多岐にわたりますが、代表的なものとしては下記の手段があります。


<主な資金調達方法一覧>

地方自治体の融資制度 都道府県や市区町村が提供する融資制度も活用できます。比較的低金利な点が特徴です。
ビジネスローン 金融機関やノンバンクが提供する事業者向けの融資商品です。審査が比較的迅速で、小口の資金調達に適しています。
国の補助金・助成金 特定の事業や目的に対して国が提供する資金支援です。
ベンチャーキャピタル・エンジェル投資家 高成長が期待されるベンチャー企業に対して資金を提供します。
クラウドファンディング インターネットを通じて不特定多数の人から資金を募る方法です。プロジェクトや製品の魅力を発信して資金を集めます。
ファクタリング 売掛金や受取手形を金融機関や専門業者に売却して、即時に資金化する方法です。

各資金調達方法のメリット・野球などを詳しく知りたい方は、こちらの資料をご覧ください
【お役立ち資料】中小企業の資金調達まるわかりガイド

銀行融資に向けて動いているもの、審査に受かる不安という方はこちらの資料をご覧ください。

財務活動面でキャッシュ・アウトを減らす

1.負債を少なくする
収益を減らすことで支払利息の負担を減らすことができるため、長期的にキャッシュフローが改善します。
また、自己資本を増やすことにより、銀行から得て、資金を借りやすい状態を作ることができます。
 

【実例】キャッシュフロー改善の成功事例

前章では、早くキャッシュフローを改善する方法として、資金繰り改善サービスや後払決済サービスがあるとご紹介しましたが、以下では実際にサービスを活用しキャッシュフローを改善した企業の事例を2つご紹介します。

1.売掛回収を早期化したキャッシュフロー改善事例

マーケター支援等を展開している株式会社Bennu様では、クライアントのマーケティング活動に関わる広告掲載時、広告主からの支払い前にメディア社や制作パートナーに料金をお支払いする必要があり、キャッシュフローが別途して結局課題に決着しました。
 
そこで、後払決済・請求代行サービスの「セゾンインボイス」を導入したところ、原価の支払いに対して売掛の回収がきちんとできるようになり、キャッシュフローが改善されました。な営業活動や投資活動ができました。
取引先も導入することで、キャッシュフローがさらに改善する効果が得られています。
 
その他の売掛回収を早期化した導入事例を知りたい方は、資料をご覧ください。

2.支払いを先延ばしたキャッシュフロー改善事例

ある広告代理店では、手元資金を十分に確保することができず、広告費の立替えによりキャッシュフローが圧迫されております。
また、手元資金が不足していたためクライアント企業に前払いをお願いしたことで、失注となってしまうこともありました。
 
このような問題解決に向けて、支払いを先払いできるサービスである「支払い.com」を導入したところ、手元資金を十分に確保できるようになり、広告費の立替でキャッシュフローが圧迫されることまた、前払いを要求する必要がなくなり、受注機会の損失を防げるようにもなりました。
 
支払い.comのその他の導入事例を知りたい方は、こちらの資料をご覧ください。
【導入事例資料】「支払い.com」業界別資金改善事例集

キャッシュフロー改善に役立つサービスを活用しよう

ここまで、理想的なキャッシュフローの状態を明らかにしたうえで、キャッシュフローを改善する具体的な方法を示しました。

望ましいキャッシュフローの状態は、「企業の本業である営業活動で十分なキャッシュを得て、その他の活動に回している状態」です。
営業活動によるキャッシュフローが赤字であれば、まずは売上の向上や債権回収、費用削減などによって「本業で稼げる状態」を作り出すことに全力投球しましょう。特に、キャッシュ・インを増やすための最優先事項は売上を増やすことです。

とはいえ、現実にはキャッシュフローを改善できるレベルにまで売上を伸ばすことは容易ではありません。そこで以下では、支払期日の先延ばしや売掛金の早期回収を実現することで、キャッシュフローを改善できるソリューションをご紹介します。

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キャッシュフローを改善する方法としては、支払いが延長できるサービスを利用することも効果的です。
 
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