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CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)とは?改善方法・短縮化のソリューションをご紹介
今回は、日本企業が抱える課題やCCC改善が求められる理由、CCCを短縮するための方法についてわかりやすく解説します。
CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)の基礎知識
まずは、CCCの概要や運転資金との違い、CCCが長い場合の問題について解説します。
CCCとは?
CCCとは、企業の資金繰りの状態を表す財務指標です。企業が、商品・原材料の仕入れに現金を投入し、その費用を回収するまでの日数や効率を示しています。企業の資金効率を示す指標として利用されており、資金投入から回収までのサイクル(CCC)が短ければ短いほど、その会社の資金繰りが安定していることがわかります。
運転資金とはどう違う?
運転資金は、事業活動を継続するために必要なお金のことです。CCCは資金投入から回収までの期間を表す指標のため、運転資金とは概念が異なります。
CCCが長い場合に起こる不具合と改善の重要性
CCCが長いと、その間はキャッシュが減っていく、またはキャッシュが不足している状態が続くことになります。CCCが長いということは、その期間に借入などで不足分を補う必要があり資金繰りがどんどん苦しくなります。そのため、CCCが長期化している企業は、期間を短縮化するための改善策を実施する必要があるのです。
CCCがマイナスの状態は理想的?
CCCがマイナスの場合、資金繰りが不要になるため理想的な状態といえます。現金を多く保有できるため、資金を投資や研究に回すことが可能です。実際に、大手製造業やIT企業ではCCCがマイナスになる企業が存在します。
日本の事業構造に課題?CCC改善が重要な理由
日本企業はCCCが長期化しやすい傾向があります。その要因としては、日本の事業構造が関係しています。
日本の事業構造の問題点
日本企業のCCCが長期化する大きな要因として、BSの効率化よりもPLの最大化を優先する企業が多い点があげられます。これは日本特有の資本市場によるもので、以下のような点が複合的に絡み合っていることが考えられます。
・支払いサイトが長期化しやすい、手形支払などの商慣習
・機会損失の回避を優先する売上・利益至上主義
・過剰な在庫を容認する組織文化
・低金利で資金調達がしやすい資本市場
・ROIC など、資本効率性を表す指標が経営陣の評価指標に導入されていない
このような日本企業を取り巻く事業構造がCCCの長期化につながっています。欧米の企業に比べて、日本企業は圧倒的にCCCが長期化しやすく、成長が鈍化する大きな要因になっているのです。
CCC改善は企業価値向上・キャッシュフロー創出に欠かせない
CCCを改善することで、キャッシュフローが改善し、資金繰りが安定します。事業活動の安定につながるのみならず、キャッシュフローを拡大する効果も期待できます。CCCの改善は、資金繰りの安定による企業価値の向上、または新たなキャッシュフロー創出につながるのです。
CCCの計算方法・計算式
ここからは、CCCの計算方法についてわかりやすく解説します。
売上債権回転日数
売上債権回転日数は、売上が発生から代金の回収までにかかる期間を指す言葉です。
売上債権回転日数が短いほど、現金の回収スピードが速く、資金繰りが安定していることを示しています。
売上債権とは、売上は発生しているものの、代金はまだ未払いの状態を指しています。
受取手形・売掛金などが該当します。
棚卸資産回転日数(在庫回転日数)
棚卸資産回転日数(在庫回転日数)は、商品を仕入れてから販売するまでの期間を指します。
在庫回転率を表す指標で、このサイクルが短いほど在庫が少ないことがわかります。
棚卸資産とは、商品、製品、原材料、仕掛品などの在庫を示しています。
買入債務回転日数(仕入債務回転日数)
買入債務回転日数(仕入債務回転日数)は、原材料なども含めた商品の仕入れから代金を支払うまでの期間です。
この期間が長いほど、手元にキャッシュが残る期間が長くなり、資金繰りが安定しやすくなります。
ただし、支払いを遅らせすぎると、与信審査などで資金繰りの悪化をごまかしていると判断されかねません。
長くなりすぎないように注意する必要があります。
※仕入債務とは、商品の購入後に未払いの債務を指します。
CCCを改善・短縮する方法とは?
では具体的に何をしてCCCを改善できるのでしょうか?
在庫の適正数を維持する
棚卸資産回転日数を減らすには、在庫の適正数を把握することが大切です。
需要予測や在庫管理システムを導入し、生産数のコントロールや適正在庫を維持しましょう。
販売方法の見直しや販促による早期売却を行う
過剰に在庫が発生しない販売方法をとることが必要です。具体的には予約販売・注文販売への切り替えが考えられます。予約数・注文数に応じてその分を仕入れたり、作成したりすることで棚卸資産回転日数を短くする効果があります。
売掛金を減らし現金取引を増やす
売掛金とは代金未払いの状態を指すため、このような取引が多いとCCCが長くなりやすくなります。現金取引に近い契約を増やし、CCCが延長する状況を改善しましょう。
取引先の売掛金の回収サイクルを短縮する
売掛金の回収サイクルを短縮することもCCC改善につながります。回収サイクルを短縮するためには、取引先と交渉して早めに支払ってもらうか、後払決済サービスを利用する方法の2つがあります。
●取引先との交渉:取引先と交渉して早めに払ってもらうことで回収サイクルを早めることができますが、先払いを要求すると失注になる可能性もあるため要注意です。
●後払決済サービスの活用:後払決済サービスは、決済サービス会社が代金を立て替え、あとで顧客に請求する形式のサービスです。取引先の後払いの要望に答えつつ、入金に関しては先払いと変わらない取引を実現したいと考える場合におすすめです。
売掛金の回収の基礎知識を知りたい方は下記記事をご参考ください。
>【お役立ち記事】売掛金の回収とは?基礎知識とその会計処理について解説!
仕入れ先への買掛金の支払いサイクルを遅らせる
仕入れ先をはじめとする取引先に、支払期限を長めに設定できないか交渉する方法です。
ただし、交渉はできるものの、大規模案件が多く多重構造になりやすい業界や、仕入れから商品販売までの期間が長い業界は支払いサイクルがどうしても長期化しがちです。交渉が成立して仕入れ先のCCCが長くなると、仕入れ先に負担を強いることになり、自社への心象が悪くなる可能性もあります。
これを解消するには、支払猶予の長いビジネスカードの利用や、先払いを実現できる資金繰り改善サービスの利用がおすすめです。
CCC改善の障壁と改善事例
CCCの改善には以下のような障壁があります。実際に改善に取り組むためには、このような障壁をひとつひとつ解消することが求められます。
CCC改善の障壁 ・CCC改善が全社的な目標に組み込まれていない ・売上増加施策やコスト改善活動が優先され、CCC改善の重要性が理解されていない ・CCCの評価指標やプロセスの整備がなく、活動を持続させる仕組みが欠如している |
これらの課題を解消することが、CCC改善を確実に実施するために欠かせません。CCC改善に取り組み、実際に成功した企業では以下のような改善を実施しています。
CCC改善事例 ・課題整理と目標設定をトップダウン式に整備。CCC改善目標を財務目標として設定・共有し、全社での認識を統一。 ・行動指針をまとめ、CFOなどの役職から全社に通知。勉強会なども実施し、CCC改善の重要性を現場に啓蒙。 ・CCCの財務目標を正確に把握・推進するための仕組み・システムを導入。 ・業務評価制度にもCCC改善を指標として組み込む。 ・CCC改善を継続的に運用できる仕組みとして資金繰り改善サービスを導入。 >サービス導入による業界別資金繰り改善事例はこちら |
CCC改善は全社で推進すべき取り組みです。課題・目標の整理から全社への理解の醸成、実際の運用まで、ひとつひとつを丁寧に実施していきましょう。
CCC改善・短縮化の3つのソリューション
CCC改善のためには、入金・出金の流れを正確に把握することが欠かせません。CCC改善は、企業価値の向上やキャッシュフロー創出につながる重要な施策のため、すぐに改善できるソリューションを導入することが重要です。
以下では、CCC改善・短縮化を実現する3つのソリューションをご紹介します。
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CCCを改善できるソリューションは多く存在するため、CCC短縮の仕組みづくりにつながる場合は積極的に取り入れていきましょう!