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スタートアップ企業の資金調達に適した方法とは?各調達手段のメリデメ・選ぶ際のポイント
スタートアップに適した資金調達方法から知りたい方は、
「スタートアップ企業に適した6つの資金調達方法」をご覧ください。
【資金調達基礎知識】資金調達の短期資金と長期資金とは?
資金調達とは事業を運営するための資金を調達することで、大きく分けて短期資金と長期資金の2種類があります。それぞれの違いとして返済期限や返済原資の違いなどがあり、この2つの違いを理解することで、事業運営に合った資金調達方法を選ぶことができます。短期資金と長期資金の違いについて詳しく解説します。
短期資金
短期資金とは返済期限が1年以内の資金のことです。短期的に資金の借入と返済を繰り返し、事業の運営に利用します。事業を行う中での支出と売上の時差を補填するため、例えば店舗へ季節商品を仕入れたいがそのための資金が足りない、などの場合に調達する資金が短期資金に該当します。この場合、季節商品の販売で得た売掛金が返済の原資となります。
長期資金
長期資金とは返済期限が1年を超える資金のことで、資金調達の理由として具体例をあげると機械購入など設備投資のための資金や、事業拡大のために購入する土地や車への資金として長期資金を利用することがあります。借入先にもよりますが、短期資金に比べて長期資金は金利が高いものが多いです。
【資金調達基礎知識】資金調達の3つの方法とは?
3つの資金調達方法についてそれぞれ解説します。
アセットファイナンス
アセットファイナンスの「アセット(Asset)」は「資産」を意味します。
自社が保有する資産(有形・無形)を担保にする、または売却して資金を調達する方法です。
アセットファイナンスは、自社保有の資産が将来のキャッシュを生み出せるという信用のもとに成り立つ資金調達です。資産の買い手さえ見つかればすぐに現金化が可能で、そのスピーディーさがアセットファイナンスのメリットといえます。
その他のメリットは「企業の信用度ではなく資産自体の信用力で行える」「利息の支払いが不要」という点です。
ただ、そもそも資産を保有していないと行えない、またその資産に信用力がないと行えない資金調達方法という点においては、まだ起業後間もないスタートアップにとって難しい場合もあります。
アセットファイナンスの代表的な例は以下のとおりです。
●不動産など固定資産の売却
有効活用されていない自社保有の土地や車両、機械設備などを売却して資金調達する方法です。
●売掛債権や特許権・商標権など権利の売却
売掛債権や特許権・商標権のような無形の資産の売却により資金を調達する方法です。
●リースバック
企業が所有する資産を一度売却し、その後同じ資産をリースすることで引き続き使用できるようにする契約形態のことです。
●ファクタリング
会社が保有する売掛金をファクタリング会社に売却する金融サービスです。
ファクタリングを利用した会社には売掛金から取引手数料を引いた現金が支払われます。
アセットファイナンス全体の詳細についてはこちらの記事をご覧ください。
デットファイナンス
デットは英語で「Debt」と表記され「負債」という意味の言葉です。
デットファイナンスとは”負債”つまり借入や融資などを用いて資金調達をすることです。
デットファイナンスには返済義務があり、利息が発生することが特徴です。
「利息は損金として計上することで節税対策ができる」「さまざまな条件の資金調達先が豊富にある」「経営権が守られる」などがメリットとして挙げられます。
デメリットとしては、負債が増え自己資本が減ることが取引先との信頼関係に影響する可能性があることと、借入金+利息の返済義務が発生する点があります。返済が滞ってしまった場合は信用度が落ち、最悪の場合は倒産することもあります。
反対に、きっちりと返済した場合は実績ができることで信用度が上がり、今後の融資が受けやすくなります。
デットファイナンスの代表例としては以下のものがあります。
●公的機関の融資
日本政策金融公庫や商工組合中央金庫、地方自治体の制度融資などを活用して資金を借り入れる方法です。金利は低めですが、審査基準が厳格で手続きに時間がかかることがあります。
●銀行や金融機関からの融資
信用力のある企業は比較的大口の融資を受けやすいですが、銀行融資は審査が厳しいため、スタートアップ企業が利用するには難易度が高いです。
銀行融資を検討している方は、融資審査を通過するためのポイントをまとめた資料をご覧ください。
●ビジネスローン
主に中小企業や個人事業主向けの融資商品です。手続きが簡単で、審査も比較的早いメリットがありますが、金利は銀行融資より高めです。
●社債(公募債、私募債)
企業が債券を発行して投資家から資金を調達する方法です。大規模な資金調達が可能である一方、発行手続きが複雑で、コストがかかる傾向があります。
●自己資金(家族・友人からの援助を含む)
起業家自身の貯蓄や、家族・友人からの援助による資金調達方法です。 手続きが簡単ですぐに資金を調達できますが、援助を受ける場合、返済が滞ると顔の知れた人との関係性の悪化につながりかねません。 金額や返済条件を明確にする、事業リスクの説明をする、法律や税金の問題を調べる、といった点を押さえておく必要があります。
エクイティファイナンス
エクイティファイナンスの「エクイティ(Equity)」とは株主資本のことで、企業が株式を発行することで出資を受け資金を調達する方法です。
エクイティファイナンスはデットファイナンスと違い、返済義務や期限がありません。
ただし返済義務はないものの、出資側は出資額以上の利益を期待しているため、エクイティファイナンスで資金調達をする際は企業の将来性や企業戦略などを十分に説明しておく必要があります。
返済義務がないことや、株主増加により自己資本比率が増え財務基盤が強化されること、また自己資本比率増加による信用度の上昇がメリットといえます。
デメリットとしては配当金を支払う義務が発生すること、場合によっては企業の経営権を失う可能性があること、中小企業の場合は資本金が上がることで優遇税制の対象から外れる可能性があることが挙げられます。
エクイティファイナンスの代表例としては以下のものがあります。
●公募(時価発行増資)
不特定多数の投資家に新株を発行して資金を調達する方法であり、大規模な資金調達に向いています。ただし、株価や市場動向の影響を受けやすい点はデメリットです。
●株主割当増資
既存株主に対して持株比率に応じて新株を割り当てる方法です。比較的小規模な資金調達に適していますが、株主の出資意欲に依存する点には注意する必要があります。
●第三者割当増資
既存株主ではない特定の投資家や企業に新株を割り当てる方法です。迅速な資金調達が可能ですが、既存株主の持株比率が希薄化する可能性があります。
●エンジェル投資家
エンジェル投資家とは、個人で起業初期段階のベンチャー企業に投資する投資家のことです。経営アドバイスなど資金以外のサポートを受けられるメリットがありますが、頻繁に経営に口を出されて思うような経営ができなくなる可能性もあります。
●クラウドファンディング
インターネットを通じて多数の個人から小口の資金を集める方法です。幅広い層からの資金調達が可能で自社の認知度拡大を期待できますが、設定した目標金額に達しない可能性がある点には注意が必要です。
●ベンチャーキャピタル
ベンチャーキャピタルは、成長性の高いベンチャー企業に投資する投資会社のことです。大規模な資金調達が可能でビジネスノウハウの提供も受けられますが、短期間での成果を求められるプレッシャーがかかる可能性があります。
下記の資料では、これまで紹介した資金調達方法のうち、主流な方法についてより詳細に解説していますのであわせてご覧ください。
【お役立ち資料】資金調達まるわかりガイド
スタートアップ企業に適した6つの資金調達方法
ここまでアセットファイナンスとデットファイナンス、エクイティファイナンスについて解説しましたが、スタートアップ企業にとってはアセットファイナンスでの資金調達は難しい面があります。
そこで以降では、アセットファイナンス・デットファイナンス・エクイティファイナンスの分類にこだわらず、スタートアップ企業におすすめの資金調達方法をご紹介します。
ベンチャーキャピタルからの出資
ベンチャーキャピタルとは、将来的に上場を狙えるような、高い成長を期待できる企業に対して投資を行う会社のことです。
企業が上場後、大きく値上がりした株式を売却しキャピタルゲインを得ることを目的としており、出資後は上場に向けて経営に関するアドバイスがある場合も多く、スタートアップやベンチャーにとってはメリットの大きい資金調達方法です。
日本政策金融公庫の融資
日本政策金融公庫とは日本の政策に基づいてさまざまな企業への融資を行っている金融機関で、金利が低く融資期間が長いことが特徴です。
「新創業融資制度」はスタートアップやベンチャーにとっても借入しやすい、無担保・無保証での取り扱いとなっています。
クラウドファンディング
インターネットを通じて、企業に賛同した不特定多数の人からの出資を募る資金調達方法です。
金融機関などのような借入時の条件もなく、広範囲に出資を募ることができる半面、事業内容によっては目標金額の資金調達には時間がかかる可能性があります。
クラウドファンディングには資金調達と同時にプロモーション効果もあり、事業を実現前にインターネットを介し、より多くの人に知ってもらえるという点でおすすめの資金調達方法です。
個人投資家
スタートアップやベンチャーに投資をする個人投資家をエンジェル投資家といい、中には起業経験がある人も多く、経営に関するアドバイスを受けられることもあります。
個人で行っている分、出資までのスピードが速いというメリットがありますが、ベンチャーキャピタルのような高額の出資は難しい場合もあります。
ファクタリング
売掛金を現金化し資金調達する方法をファクタリングと言います。
売掛金とは本来、商品が売れて売上が立ってから回収できる資金で、現金が手元に来るまでに1,2ヵ月のタイムラグが発生することもあります。
このタイムラグをなくし、すぐに資金調達するために、先に売掛債権を買い取ってもらうのがファクタリングです。
手数料がかかることや、悪徳なファクタリング会社には注意が必要ですが、審査されるのが売掛先という点ではスタートアップやベンチャーにも利用しやすい資金調達方法です。
ファクタリングはオンラインで審査・契約できることや、融資までのスピードが速いというメリットがあります。
ビジネスローン
ビジネスローンは比較的審査のハードルが低く、担保や保証人の必要もありません。
実績が少ないスタートアップやベンチャーにも向いている資金調達方法です。
ビジネスローンは融資までのスピードは速いですが、金利が高い点には注意が必要です。
最新動向!スタートアップ企業におすすめの新たな資金調達方法とは?
ここまでご紹介した資金調達方法以外にも、昨今新たに注目されている資金調達方法があります。
以下では、スタートアップ企業やベンチャーにおすすめの資金調達方法をご紹介します。
RBF
RBFは「レベニュー・ベースド・ファイナンス」の略で、企業の将来収益を予測し、それに基づいて資金を調達する方法です。
借り手は定期的な返済を行いますが、額は企業の収益に応じて変動するため、収益が多い月には返済額が多く、収益が少ない月には返済額が少ないなど、通常の融資のように固定された返済スケジュールがないのが特徴です。
主に売上高を基準とするため、赤字企業でも利用できる可能性があります。
ベンチャーデット
スタートアップや成長企業向けの資金調達方法で、エクイティファイナンスとデットファイナンスの中間的な存在ですが、どちらかというとデットファイナンスに近いです。
ベンチャーデットでは、金融機関が企業に無担保や低金利で融資を行い、企業は金融機関に対して株式のワラント(新株を一定価格で買える権利)を付与することが一般的です。
価値の高い固定資産を持たないことが多いスタートアップ企業でも資金調達しやすく、経営への介入が比較的少ないメリットがあります。
一方で、ベンチャーデットはあくまでも負債であるため、返済する義務が生じることには注意が必要です。
ビジネスカードローン・キャッシング
少額資金の調達であれば、ビジネスローン以外にビジネスカードローンやクレジットカードのキャッシングによる資金調達方法があります。担保や保証人が不要な場合が多く、契約後は限度額の範囲でいつでも繰り返し利用が可能なところが魅力です。
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まとめ
資金調達にはさまざまな種類があります。特にスタートアップは資金繰りに悩むことも多いため、事業に合った資金調達方法を選択する必要があります。外部からの資金調達も有効ですが、自己資金での運営のほうがリスクを回避できます。
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